協働事例

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大分川・宮川の水環境を豊かに

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現状と地域課題

 由布市を流れる大分川水系宮川では、成長すると約2メートルにもなる外来水草オオセキショウモが約30年前から繁殖しています。外来水草が川全体を覆って流れをせき止めてしまうことで河川水位が上昇しており、農業水路の排水不良や降雨時に田んぼが水に浸かってしまう恐れがあります。さらに、下流地域では河川氾濫による災害の危険性もあります。また、大分県絶滅危惧種に指定されているササバモ等の小さな動植物に十分に日光が行き渡らないなど、地域に本来ある生態系の生育環境に悪影響を与えています。
 外来水草の除去作業は、長年に渡り地元農家が中心となって行っていましたが、担い手の高齢化が進み、手に負えない状況となってきています。いま、地域の農業を守ること、災害の危険性を低下させること、そして日本本来の生態系を守るために、外来水草の除去などの河川整備を行い、平常時の水位上昇を抑制して地域の環境を再生しなければなりません。
 宮川が地域資源として人々に大切にされながら後世に受け継がれていくとともに、温泉地・湯布院の観光資源として魅力的な自然環境を創出するための継続的な活動が求められています。

地域課題解決の取組・成果

 「宮川再生プロジェクト」の最新の活動としては、令和2年8月、3日間に渡る水草の駆除活動を行い、外来水草繁殖区間約1キロメートルのうち588メートルまで除去が進みました。生態系についての調査研究結果としては、一つの観測地点ではマイナス26センチメートルの水位低下を計測し、在来水草のサバモモの再繁殖も見受けられます。
 外来水草の駆除活動や調査研究のほか、水環境の再生、課題解決に向けたさまざまな取り組みの中の一つとして、市民参加による「大分川を考えるワークショップ(全6回)」を開催しました。ゆふいん豊水会・大分県・大学関係者とで参加者の意見を集約・検討後、市民の声を形にした「大分川ビジョン」を作成しました。大分川の風景や湯布院が今後どのような姿を目指していくかということ、そして、市民と各団体・行政がそれぞれの役割を認識し、豊かな自然を次世代に引き継ぐために行うべき活動の指針が示されています。
 また自然環境保全の学習・啓発活動として「大分川水環境フォーラム」を毎年開催しており、平成30年3月には、地元の湯布院中学校の全生徒向けに実施しました。魅力的な水辺の環境を未来の子どもたちへと継承していけるように、水環境保全や取り組みについて、次世代を担う若者たちへの啓発を積極的に行っています。
 こうした活動により、外来水草の駆除活動に参加する人たちが少しずつ増え、宮川の清流域は徐々に広がってきています。そして、川を楽しみに歩く人や毎日のジョギングコースにする人なども現れ始めました。環境の再生・維持に関する活動は継続して行う必要があります。持続可能な活動を行うためにも、地域の豊かな自然環境が与えてくれる影響を実感できる人とのまちづくりの体制を目指しています。将来的には、川沿いの遊歩道やベンチなど、河川の景観を総合的に整備し、人々が集える場所になることが望まれます。

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協働による効果

 年に2回それぞれ3日間の作業日を設け、地元農家(水路組合)と合同で手作業による外来水草の駆除を行っています。1日に20〜30名のボランティア参加があり、1年間では延べ100名以上、過去5年間の合計は697名の参加がありました。
観光地・湯布院のいくつかの旅館では「ゆふいん盆地米」として地産の米を提供しており、農家だけでなく旅館組合の方々も地元の農業を守っていこうという思いで活動に参加していただいています。また、水害の影響を受けやすい下流地域の住民も、活動を知り、自主的に参加してくれる方々が出てきました。
 ゆふいん豊水会そのものが地域の団体等による協働の組織であり、さらに地元農家と協働により活動を行ったこと、そして「大分川ビジョン」を策定し『地域のみんなで環境を守っていきましょう』と明確かつ具体的に示したことにより、今まで関わることのなかった人たちが一緒になって作業を行い、地域としての連帯感が生まれてきています。まずは活動に参加してもらうことで環境に興味を持ち、次に地域の課題を自分のこととして考え、さらには主体性を持って行動しようという人々の意識の芽生えを感じています。
 地域の豊かな環境を維持することは地域住民すべての人に関わることです。ひとりひとりが地域の環境への課題意識を持って、継続的に活動を行い課題を解決していくことが大切です。地域の方が活動に関わることで、少しずつ活動の輪が広がり、地域で維持管理できる持続可能な体制づくりが進んでいます。
(取材日 R2.12)

協働相手の情報

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協働相手名
白滝宮川活動組織(地元水路組合) 代表 加藤 一郎氏
コメント
長年、地元自治区や農業者で外来水草対策を行ってきました。豊水会と一緒に取り組むようになり再繁殖の抑制や、行政などとのつながりによる人手、資金の確保ができ、より効果的に作業が行えるようになりました。今後も協働して宮川の再生に努めたいと思います。

団体情報

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団体名
任意団体 豊かな水環境創出ゆふいん会議(ゆふいん豊水会)
活動場所
大分県
所在地
大分県 由布市 湯布院町川上1647
情報開示レベル
おんぽ活用レベル
なし
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