NPO法人向けQ&A
NPO法人の要件や設立手続、運営などのQ&Aを掲載しています
目次
- Q1 NPO法人の義務は?
- Q2 NPO法人の「NPO活動」とはどんな活動?
- Q3 NPO法人の要件は?
- Q4 NPO法人の「社員」とは、職員のこと?
- Q5 NPO法人の「役員」の人数は?
- Q6 NPO活動以外の「その他の事業」はどの程度できるの?
- Q7 NPO法人は税金を納めないといけないの?
- Q8 NPO法人が労働者を雇ったときは?
- Q9 NPO法人になると助成金や事業委託が受けられるの?
- Q10 税制上の優遇措置が適用される認定NPO法人とは?
- Q11 NPO法人の「所轄庁」とは?
- Q12 NPO法人になるための手続とは?
- Q13 NPO法人設立の申請に必要な書類は?
- Q14 申請書類の様式はどこからダウンロードできるの?
- Q15 大分県(所轄庁)に提出しなければならない書類は?
- Q16 NPO法人が登記しなければならない事項は?
- Q17 NPO法人の会計事務はどのような基準で行えばいいの?
- Q18 NPO法人が情報公開しなければならない書類は?
- Q19 NPO法人を解散するときの手続は?
Q1 NPO法人の義務は?
NPO法人には、その事業活動や組織運営などに関して、NPO法(特定非営利活動促進法)や関係法令、または、定款で規定された多くの義務があります。
主な義務は次のとおりです。
- 県(所轄庁)への事業報告書等の提出
- 事業年度終了後、3ヶ月以内に事業報告書等を提出します。
- 役員の変更があった場合は、役員変更届を提出します。
- 定款を変更する場合は、定款変更認証申請または定款変更届を提出します。
- 法人の運営や活動についての情報公開の義務
- 事業報告書等、役員名簿、定款等の資料を事務所に備え置き、利害関係者等への情報公開が義務づけられています。
- 貸借対照表を定款で定める方法により、公告する義務があります。
- 法令や定款に準拠した法人運営
- 利益が生じた場合、会員等で分配できません。次のNPO活動に充てることになります。
- 社員(正会員)の入会・退会について、不当な条件を付けてはいけません。入会・退会は原則として自由です。
- 法人登記
法人設立の登記、及び、登記内容に変更があった場合(Q16参照)の登記変更を速やかに行う必要があります。
登記変更を怠った場合は、20万円以下の過料を科されることがあります。 - 法律に基づいた税務・労務対応
- 法人税法で定める収益事業を行う場合は、他法人と同様に課税されます。
- 従業員の雇用条件によっては、社会保険や労働保険への加入が義務づけられます。
Q2 NPO法人の「NPO活動」とはどんな活動?
NPO法で定められている「NPO活動(特定非営利活動)」とは、次の1~20のいずれかに該当する活動で、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいいます。
特定の個人・法人・団体等の利益を目的として事業を行ってはいけません。
「NPO法別表」
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
Q3 NPO法人の要件は?
NPO法人になるためには、次の①~⑧のすべてを満たす必要があります。
- NPO活動(Q2参照)を行うことを主たる目的とすること
- 営利を目的としないものであること(利益を社員で分配しないこと)
- 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと(Q4参照)
- 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
- 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと
- 特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと
- 暴力団でないこと、暴力団又は暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと
- 10人以上の社員を有するものであること
Q4 NPO法人の「社員」とは、職員のこと?
NPO法人の「社員」とは、総会で議決権を持つ会員(正会員)のことであり、職員や従業員のことではありません。NPO法人は、この社員が常時10人以上いることが必要です。
また、社員(正会員)の入会については、例えば「○○の資格を持つ者であること」、「女性(男性)であること」、「○○歳以下であること」等の不当な条件をつけることはできません。
したがって、新たに社員の入会申し込みがあった場合、合理的な理由がなければ入会を拒むことはできません。
なお、社員以外の会員(賛助会員等)の入会については、任意の条件を定めることができます。
Q5 NPO法人の「役員」の人数は?
- NPO法人には、役員として、理事3人以上、監事1人以上を置かなければなりません。
- 役員(理事・監事)が6人以上の場合には、配偶者もしくは3親等以内の親族1人を役員に加えることができます。
- 外国人や未成年者も役員になることができますが、未成年者が役員になる場合は親権者の同意が必要です。
- 監事は、理事の業務執行の状況や法人の財産の状況を監査することが職務です。したがって、第3者的な立場であることが必要であり、監事が理事または職員を兼ねることはできません。
- 役員の任期は、定款で2年以内の期間を定める必要があります。
Q6 NPO活動以外の「その他の事業」はどの程度できるの?
NPO法人は、その収益をNPO活動に充てるため、NPO活動に支障のない範囲で「その他の事業」を行うことができます。この場合、定款上で「その他の事業」として整理し、NPO活動とは区分して会計処理を行う必要があります。
なお、事業収益を伴う事業のすべてが「その他の事業」になるわけではありません。
NPO活動の継続・発展のために、活動資金の確保は当然行わなければならないことです。NPO活動の中で収益事業を行い、適切な対価を受け取って収益を得ることに、何ら問題はありません。
Q7 NPO法人は税金を納めないといけないの?
NPO法人に対しても様々な税金が課せられますので、下記の場合は、税務署等への届出が必要です。
- 法人を設立したとき…県税事務所及び市町村の税務担当課へ「法人設立届」
- 法人税法上の収益事業を開始したとき…税務署へ「収益事業開始届」
- 職員給与等の支払を始めたとき…税務署へ「給与支払事務所等の開設届」
NPO活動として行う事業でも、法人税法上の収益事業に該当する場合があります。実施予定の事業が収益事業かどうか、必ず最寄りの税務署に確認してください。
税法上の収益事業を行っていない法人は、毎年4月の指定日までに免除申請を提出すると、法人県民税及び法人住民税の均等割が免除されます。最寄りの県税事務所及び市町村の税務担当課にお問い合わせください。
Q8 NPO法人が労働者を雇ったときは?
労働者を雇用した場合、労働条件(契約期間、就業場所、従事業務、勤務時間や休憩・休日・休暇、賃金等)を明示して、労働契約を締結することが必要です。
また、労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)、年金事務所等への届出が必要となる場合があります。
- 労働基準監督署・・・就業規則の届出(10人以上雇用する場合)や労災保険に関すること等
- 公共職業安定所・・・雇用保険に関すること等
- 年金事務所・・・健康保険や厚生年金保険に関すること等
※ 具体的な手続きや提出書類については、それぞれの機関に必ず確認してください。
Q9 NPO法人になると助成金や事業委託が受けられるの?
NPO法人を設立しただけで受けられる助成金や事業委託等はありません。助成金や事業委託を受けるための手続きは、NPO法人自身が自主的に行うものです。
通常の場合、助成団体や事業主から募集があり、応募のあった中から書類審査やプレゼンテーションによる選考を経て、最終的に選ばれた法人や団体が、助成金または事業委託を受けることとなります。
日頃から「おおいたNPO 情報バンク『おんぽ』」等をチェックし、助成金等の情報の中から応募条件に合っているものを選択して、企画書や予算書等の提出書類を作成のうえ応募してください。
Q10 税制上の優遇措置が適用される認定NPO法人とは?
NPO法人のうち一定の基準を満たしていると認められた法人には、その法人への寄付者に対する税の優遇措置があります。その法人には、「認定NPO法人」、「特例認定NPO法人」、「指定NPO法人」の3種類があり、税の優遇措置の内容は法人の種類によって異なっています。
また認定、指定を受けるためには一定の基準を満たす必要がありますが、大分県では「指定NPO法人」の指定要件を独自で設けており、基準を緩和しています。「認定NPO法人」等の申請については、必ず事前にアイネス県民活動支援室へ相談してください。
Q11 NPO法人の「所轄庁」とは?
NPO法人の所轄庁は、主たる事務所が所在する都道府県の知事(または指定都市の長)です。
大分県内に主たる事務所を置くNPO法人の所轄庁は大分県知事であり、「大分県消費生活・男女共同参画プラザ(通称:アイネス)県民活動支援室」が所轄庁の事務を担当しています。
所轄庁は、NPO法人の設立の認証事務をはじめ、事業報告書等・役員変更・定款変更等に関する行政事務を行います。また、立ち入り検査や認証の取り消しなどができる監督権限を持っています。
Q12 NPO法人になるための手続とは?
NPO法人設立手続きの一般的な流れは、次のとおりです。
- 必要に応じて、所轄庁(県:アイネス県民活動支援室)、または、「おおいたボランティア・NPOセンター」へ相談して、NPO法人の設立要件や具体的な申請手続きについて説明を受けます。
- NPO法に定められた法人設立の認証申請書類(Q13参照)を作成し、県に提出します。県は、事前審査の後、申請書を受理します。
- 県において申請書類の縦覧(1ヶ月間)を行い、申請書受理から3ヶ月以内に認証または不認証を決定した後、認証の場合は、申請者に対し認証書が交付されます。
- 申請者は、認証書交付の日から2週間以内に、法務局で法人設立の登記を行います。
- 登記が完了することによって、法人が成立します。
Q13 NPO法人設立の申請に必要な書類は?
申請に必要な書類は次のとおりです。
また、申請書類のうちの ②、③、⑧、⑩、⑪は、提出後1ヶ月間、大分県消費生活・男女共同参画プラザ(アイネス)で縦覧に供されます。
提出書類の名称 | 提出部数 |
---|---|
① 設立認証申請書 | 1 |
② 定款 | 2 |
③ 役員名簿(役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿) | 2 |
④ 役員の就任承諾及び誓約書の謄本(コピー) | 1 |
⑤ 役員の住所を証する書面(住民票) | 1 |
⑥ 社員のうち10人以上の者の名簿 | 1 |
⑦ 確認書(Q3のNPO法人の要件⑤、⑥、⑦に該当することの確認) | 1 |
⑧ 設立趣旨書 | 2 |
⑨ 設立についての意思の決定を証する議事録の謄本(コピー) | 1 |
⑩ 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書 | 2 |
⑪ 設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書 | 2 |
Q15 大分県(所轄庁)に提出しなければならない書類は?
- 毎年、提出しなければならない書類
○「事業報告書等提出書」・・・毎事業年度初めの3ヶ月以内に提出してください。
添付書類 ①事業報告書
②活動計算書
③貸借対照表 ★計算書類の注記(必要に応じて提出する)
④財産目録
⑤前事業年度の年間役員名簿
⑥前事業年度の末日現在の10人以上の社員名簿
注)事業報告書等を3年以上にわたって提出しない場合は、法人設立認証の取消し処分の対象となりますので、注意してください。 - 役員変更、及び、定款変更のときに提出する書類
○「役員の変更等届出書」・・・役員変更(再任を含む)があった場合
添付書類 ①変更後の役員名簿
*新たな役員が就任した場合は、下記の書類も提出する
②就任承諾及び誓約書のコピー
③役員の住所又は居所を証する書類(住民票)
○「定款変更認証申請書」または「定款変更届出書」・・・定款を変更する場合
添付書類 ①定款の変更を議決した社員総会の議事録のコピー
②変更後の定款 ほか
具体的な手続きや提出書類については、アイネス県民活動支援室にお問い合わせください。
Q16 NPO法人が登記しなければならない事項は?
- 法人の設立登記・・・県から設立認証書の交付を受けた後、2週間以内に、大分地方法務局において法人設立の登記を行わなければなりません。
注)設立認証の日から6月を経過しても法人設立登記を行わないときは、設立認証の取消し処分の対象となりますので、注意してください。 - 変更登記・・・登記事項に変更が生じた際は、その都度、変更登記を行わなければなりません。
- 代表権をもつ理事の変更登記・・・任期途中で交代したとき、又は、任期満了時に再任されたときも変更登記を行います。
- 定款変更に伴う変更登記・・・定款変更により、登記事項(法人の名称、事務所の所在地、目的、事業など)に変更が生じた場合、変更登記が必要です。
- 解散登記・・・法人を解散したとき、及び、清算結了のときに登記します。
Q17 NPO法人の会計事務はどのような基準で行えばいいの?
NPO法第27条で次のように「会計の原則」が規定されています。
- 会計簿は正規の簿記に基づいて正しく記帳すること。
- 計算書類(活動計算書及び貸借対照表)及び財産目録は、会計簿に基づいて、活動の実績及び財務状況を明瞭に表示すること。
- 採用している会計基準や手続きは継続して適用し、みだりに変更しないこと。
上記により、NPO法人の会計事務は、原則として複式簿記に基づいて行う必要があります。
また、決算書類等の財務諸表は、活動状況を表す書類として一般県民に情報公開されることから、分かりやすく、正確であることが求められます。
※(参考)NPO法人の代表的な会計基準として、全国のNPO支援団体で組織された「NPO法人会計基準協議会」が策定した『NPO法人会計基準』があります。「手引き(1)」に掲載されている活動計算書等の記載例は、この基準をもとに作成されたものです。
なお、NPO法人会計基準協議会HPから、エクセル版の会計ソフトや、財務諸表作成のチェックリスト等が無料でダウンロードできます。
Q18 NPO法人が情報公開しなければならない書類は?
NPO法人は、事業報告書等(Q15参照)や、役員名簿、定款等の書類をすべての事務所に備え置き、会員及び利害関係人から閲覧の請求があった場合には、閲覧させる必要があります。
閲覧の対象となる書類は次のとおりです。
- 事業報告書等(過去5事業年度分)
- 事業報告書
- 活動計算書
- 貸借対照表
- 財産目録
- 前事業年度の年間役員名簿
- 社員のうち10人以上の者の名簿
- 役員名簿(最新のもの)
- 定款等 (最新のもの)
定款、認証書の写し、登記事項証明書の写し
また、前事業年度の貸借対照表を公告しなければなりません。
貸借対照表を以下の方法のうち、法人の定款で定めた方法により公告します。- 官報に掲載
- 日刊新聞紙に掲載
- 電子公告(法人のホームページ、おおいたNPO情報バンク「おんぽ」、内閣府ポータルサイト等)
- 公衆の見やすい場所に掲示
Q19 NPO法人を解散するときの手続は?
NPO法人の解散には、次の7つの事由があります。
- 総会の決議
- 定款で定めた解散事由の発生
- 目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能
- 社員の欠亡
- 合併
- 破産手続開始の決定
- 所轄庁による設立の認証の取消し
NPO法人を自主的に解散したい場合、「①総会の決議」により解散します。
「①総会の決議」による解散の手続きは、次のとおりです。
- 総会を開催し、解散することを議決するとともに、清算人を指名する。
- 法務局で解散及び清算人の登記を行う。
- 大分県へ「解散届出書」を提出する。
- 解散、及び、債権申し出について官報等に掲載する。(解散の公告)
- 2ヶ月経過後、法務局で清算結了の登記を行う。
- 大分県に「清算結了届出書」を提出する。