協働事例
NPOと企業や行政などの協働事例を掲載しています
地域の資源でいきいきと暮らすことができる地域づくり
現状と地域課題
由布市挾間町鬼瀬地区では、地場産業がないため若者が地区外に流出し、少子高齢化が進んでいます。もともと地域で行われていた第一次産業は、維持継続する手間や負担が大きいことに対し、農産物の価格の低迷により近年衰退しており、放置竹林や耕作放棄地が増えて山や田畑が荒れた状態となっています。
過疎高齢化が進み、地域全体が疲弊している状態にある小規模集落において、持続可能な事業活動の仕組みと雇用を創出し活性化を図るとともに、次世代に継承できる里山の保全活動を行い、安心して暮らせる地域として整備することが求められます。
地域課題解決の取組・成果
地域コミュニティー活動の一環として①耕作放棄地を整備して米作りを復活させ作付面積を拡大。②放置竹林を「タケノコ山」として整備し、タケノコの栽培、竹炭焼き、竹林に生えたくぬぎを活用した椎茸の栽培などを行い収穫物の販売をしました。荒れていた山を整備したことにより、竹に日光が当たって地下茎が深くなり、土砂災害の危険性が緩和されました。また、次世代を担う子どもたちのために田植え・稲刈りや椎茸のコマ打ち・椎茸狩り等の体験活動と環境学習・竹遊具の製作などを行う自然学校や収穫祭等の地域交流会を開催しています。
さらに、持続可能な産業を創出し地域を存続させるために、放置竹林を地域の貴重な資源として見直し、多量に出る伐採廃竹を有効活用する事業化に取り組んでいます。
竹は繁殖力が旺盛で田畑や住居にまで侵入する厄介者とされていますが、資源(バイオマス)として利活用すれば低炭素燃料として優れているという特性があります。これをテーマに過去2回、有識者をゲストに迎えての地域活性化のシンポジウムを開催しました。地域住民をはじめ県内外から多くの参加者があり、地域を考える活動を通して、地域コミュニティーの形成と新しい産業及び雇用の創出へと動き出しています。将来の展望としては、これらの活動が若者の定住へ繋がること、また年を重ねてもいきいきと暮らせる地域づくりをめざしています。
協働による効果
竹の伐採作業を行う際、地域住民に参加していただいたことにより、これまで同じ地域に住んでいても繋がりが薄くなっていた住民同士で地域について語らう場が生まれました。過疎高齢化が進み元気がなかった地域住民の気持ちが、自分たちが活動をすれば地域に活気が生まれることを実感し、希望を持って地域づくりを考えるようになりました。
また、収穫物である筍や椎茸を道の駅「由布いきいきネット」で販売し、その売上げを竹林の伐採費用に充当するなど、地域で資金を回せる体制を構築しています。さらに、かつて鬼瀬地区の「生活改善グループ」が使用していた調理場を筍の加工などを行う作業所に蘇らせる計画をすすめており、雇用の創出と販路の拡大をめざしています。
廃竹を資源として有効活用する事業についても、産学官(企業・地元大学・行政)と連携し、竹ペレット熱源によるバイオマス発電の事業化の目処が立っており、今後その一部の工程を担う中間工場の設立などにより雇用を創出することが期待されています。
(取材日R2.12)
(取材日R2.12)
協働相手の情報
- 協働相手名
- 鬼瀬地区 佐藤 重信氏
- コメント
- 鬼瀬地区の山(高長谷山)の斜面は、急傾斜危険地域なので、竹林の整備を怠れば、土砂崩れを起こす危険性があります。
「いきいき安心おおいた」さんと協働して取り組めることは、安心・安全な地域生活を維持していくためにも、とても有難いことです。